白かえる通信Ⅱ=きて みて はっけん 上高地線=

信州の城下町松本から 山の玄関口新島々へ〜アルピコ交通上高地線の話題をお送りします。

2021年04月

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いつになく駆け足でやってきた桜前線。信州松本でも3月25日の松本城を皮切りに市内各所で開花。上高地線沿線でも中心市街地に近いところでは3月中に早くも見頃を迎えました。写真は西松本駅そば、田川の土手にある桜並木です。川のほとりに立っての一枚。(24列車 渚-西松本 クハ3004+モハ3003)
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沿線の桜の名所「安養寺のしだれ桜」も3月29日ごろから開花がはじまり、週内には満開となりました。電車の車内や最寄の三溝(さみぞ)駅のホームからもよく見え、足を留めて眺めたりスマートフォンのカメラを向けるお客さんの姿もみられました。
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この時期は、ボリュームのある桜の花につい目が行きがちとなりますが、梅の花も沿線の随所で見ることができました。写真は森口駅すぐそば、見事な枝ぶりの樹がありました。通り掛ったご近所の方によると「豊後」という品種で大きな花をつけるのが特徴なのだそうです。


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そして時代は令和へ
2019年5月1日より新元号「令和」が施行されました。上高地線では電車にヘッドマークを掲出し新しい時代の到来を印象づけました。写真のモハ3003+クハ3004編成はかつて上高地線で活躍した10型電車のカラーリングを再現したもので、2017(平成29)年の信州ディスティネーションキャンペーンに合わせ運行を開始したものです。
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コロナ禍のもとで
2011(平成23)年より始まった上高地線の施設更新事業は、2020年(令和2)年が最終年度となる計画でした。この最終年度に予定されていたのが、現行の3000形電車に替わる「新型車両」の導入です。ところが、この年の春から本格化した新型コロナウイルス(COVID-19)の流行と、それに伴う緊急事態宣言の発出により、アルピコ交通は高速路線・上高地をはじめとする観光路線バスの運休を余儀なくされました。また上高地線の利用客数も平年比の5割(※2019年5月期/2020年5月期の比較)まで減少。新型車両の導入は見送りとなりました。現在進行中の事案ではありますが、弊通信では「希望」を持ってこれを注視して参りたいと思います。
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1920年の筑摩鐵道創立前夜から2021年の開業100周年まで、ざっと100年に渡る”山ゆき電車”上高地線の歩みを振り返って参りました。今や日本有数の山岳景勝地として知られる上高地の姿を見れば、先人たちが100年前に抱いた「上高地を世の中に開放する」夢は結実したといえるでしょう。一方で、人口減少、少子高齢化、コロナ禍を経たライフスタイルの変化と、地域鉄道をめぐる環境は決して楽観視できるものではないこともまた事実です。
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上高地線については、関係各所の努力もあって、ここ10年は利用者数が増加傾向にあり、また沿線人口も今後暫くの間は増加することが見込まれています。公設民営化などの議論も始まっていますが、上高地線=今ある地域の資源を活かしながら、地域の未来をどのように描いてゆくか。一連の記事がそのヒントや考えるきっかけとなれば幸いです。

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