白かえる通信Ⅱ=きて みて はっけん 上高地線=

信州の城下町松本から 山の玄関口新島々へ〜アルピコ交通上高地線の話題をお送りします。

アルピコ交通上高地線は8月14日(土)に「田川橋梁」(西松本-渚/松本起点0.4K)が被災し、一部区間で電車の運行ができなくなっています。現在は当該区間を含む松本駅〜新村駅の間でバス代行による運行を行っています。(上高地線代行バスのご案内はアルピコ交通公式サイトをご覧ください。)https://www.alpico.co.jp/traffic/news/474/
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1枚目の写真は8月30日に撮影した田川橋梁の様子です。安全のため電車線(電車に電気を送る線)が取り外されていました。この数日前(8月25日)には、鉄道総合技術研究所と鉄道運輸機構の専門家により、被災した田川橋梁の現地調査が実施されました。この調査結果を基に、 橋脚や線路を補修するか、交換するかといった復旧策が検討されます。ただ、復旧が決まった場合も、実際に工事に着手できるのは 河川の渇水期に当たる 11 月以降となる見込みです。 
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田川橋梁の様子を見た後、松本駅アルプス口→新村駅まで代行バスに乗車しました。観光バスタイプの1号車に路線バスタイプの2号車が続行する運用です。筆者の乗った1号車は松本駅発車時点で座席の9割以上が埋まっていたことから、途中停留所(駅)から乗車するお客様は2号車を利用するよう案内されていました。
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代行バスのダイヤは8月23日(月)に改正され、松本駅-新村駅間の所要時間は25分となりました。筆者が乗ったのは18時少し前の便でしたが、鎌田交差点の通過に時間がかかるなどして33分で新村駅に到着。バスの遅延としては軽微といえますが、電車の所要時間と比べると倍以上(14分→33分)かかった計算です。
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新島々行き列車を見送り、次の松本方面の列車を待ちます。夕闇の中到着した列車からは山から下ってきたと思しきお客様が降りて来ました。秋の紅葉シーズンを控える上高地。例年ですと、ここから再びお客様が増えて来るのですが果たして今年は...。

市民生活はもちろん、観光産業にとっても、田川橋梁の早期復旧と全線での運転再開は急務の課題です。ただ、橋梁の復旧には多額の費用を要することから、事業者単独では難しいことも事実です。なお被災から2日後の8月16日には、松本市の臥雲義尚市長から「早期の復旧に向けて支援を検討する」旨の発言がありました。
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行政による支援は幾つかメニューがありますが、例えば災害復旧補助では、国と地方公共団体(長野県・松本市)がそれぞれ費用の4分の1(残りの2分の1は事業者の負担)を負担します。つまり、国、長野県、松本市それぞれからOKが出ることではじめて復旧に着手できるのです。報道に接した市民の間では「松本市が支援してくれるなら大丈夫だ」といった安心感も生まれているようですが、越えねばならないハードルはまだ幾つもあるのが現状です。
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ところで、写真は松本市のお隣、上田市を走る上田電鉄別所線(上田~別所温泉 11.2km)の千曲川橋梁です。同橋梁は2019年の台風19号によって被災。国と地方公共団体による支援を受けて今年の3月に復旧し、1年半ぶりに全線での運行再開を果たしました。
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筆者は復旧前の昨年9月に現地を訪問しています。その際に印象に残ったのは、駅や車内で様々な形の応援の言葉やメッセージが紹介されていたことです。別所線は被災以前から、上田市によるハード面・ソフト面での支援を受けて来ましたが、これと同時に市民レベルでの積極的な活動も、複数の個人や団体、企業が参加して展開されてきました。こうした動きもまた、復旧に向けての大きな後押しになったと考えられます。

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アルピコ交通上高地線は8月14日(土)に「田川橋梁」(西松本-渚/松本起点0.4K)が被災し、一部区間で電車の運行ができなくなっています。現在は当該区間を含む松本駅〜新村駅の間でバス代行による運行を行っています。(上高地線代行バスのご案内はアルピコ交通公式サイトをご覧ください。)

一枚目は22日(日)夕方の新村駅の様子です。上高地・新島々方面からのお客様約20名が、松本駅ゆきのバスに乗り継いでいました。田川橋梁の復旧には相当の時間が掛かることが見込まれ、これから始まる秋の紅葉シーズンの入り込み客数にも影響を与えそうです。
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2枚目は翌23日(月)朝の新村駅の様子です。既に何度かお伝えしたように、上高地線は、通勤・通学などの定期利用のお客様が全体の6〜7割を占めています。新村以西の各駅(三溝〜波田〜新島々)からご乗車のお客様も多く、電車から代行バスへの乗り換えの手間や、移動時間の増大など、日々の生活に影響が出ています。

上高地線電車・代行バス時刻表(2021年8月23日〜当面の間)(PDF)
例えば、波田駅から松本駅まで乗車した場合、電車+代行バスで40分かかります。(電車の場合は24分です。)また、これはダイヤ上の所要時間であり、代行バス区間の道路状況によっては、より多くの時間が掛かることもあります。
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多くの県立高校で2学期が始まったこの日。列車によってはバス1台でお客様を乗せ切れず、2台、3台とバスを追加して運行する便もありました。またバスについては路線バスタイプの車両のほか、写真のような観光バスタイプの車両もこの日から導入されています。路線バスタイプの車両の台数が不足するため、止むを得ず導入されたそうです。

sketch-1629632521767~2他の交通事業者と同様に、アルピコ交通もコロナ禍による大幅減収、慢性的な乗務員不足など、厳しい経営環境に立たされています。こうした中で、発災後2日後(16日)より、バス代行を開始→1週間後にはダイヤの見直し・運行台数の確保など、地域輸送の確保に努めています。

田川橋梁の早期復旧を願うと共に、交通機関としての使命を果たすべく奮闘する職員のみなさんに、筆者個人としても感謝の気持ちを持ち続けていきたいと思います。

(8月15日17時追記)
8月16日(月)より松本-新村間で代行バスを運行します。(新村-新島々間は電車を運行します。)
https://www.alpico.co.jp/traffic/news/474/

浸水や土砂崩落など各地で大きな被害が出ている今回の豪雨。長野県松本市を走るアルピコ交通上高地線(松本-新島々14.4km)でも、8月14日(土)に「田川橋梁」(西松本-渚 間/松本起点0.4k付近)が被害を受けました。これに伴い8月15日(日)現在、上高地線は全線で電車の運転を見合わせています。(16日以降の運行については未定です。)

https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2021081400947

被害を受けた田川橋梁では、河川の増水により洗掘が発生。その結果、橋脚が傾斜し橋桁の歪みが発生しています。同様のケースについて調べたところ、被災後2ヶ月後に仮復旧(運行再開)→4ヶ月後に本復旧した事例がありました。これを踏まえると、少なくとも今後数ヵ月間は、一部区間での運転見合わせが続くことが予想されます。

観光路線のイメージが強い上高地線ですが、、生活路線としての性格を強く持ち、通勤・通学の定期利用のお客様が利用者全体(※近年は年間160万人台で推移)の6~7割を占めます。また、沿線自治体である松本市の計画でも「地域の基幹的公共交通機関」として位置付けられており、この10年は自治体の支援を受けながら、老朽化した鉄道施設の更新を進めてきた経緯があります。

一般に橋梁の復旧には多額の費用を要し、鉄道事業者にとって大きな負担となります。一方、上高地線の長期運休は、移動時間の増大、並行する道路の渋滞、家族の送迎の負担増、観光地の入り込み客の減少など、鉄道利用者のみならず地域の生活全般に影響を及ぼすことが予想されます。復旧にかかる費用については調査が待たれますが、状況次第では、国や長野県、地元自治体の松本市による公費投入(場合によっては上下分離方式の導入)による支援が必要となります。

https://news.yahoo.co.jp/articles/a78576fe24ea748bc8842115aa2436f3ae3d2718?page=1
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写真は今回被災した田川鉄橋付近で過去に撮影したものです。松本駅から僅か400m.余りの地点ですが、春には桜、空気の澄んだ日には北アルプスの山々をここから望むことができます。この風景の中を走る電車の姿が一日でも早く見られるよう、できることを模索して行こうと思います。

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